オーケストラの楽器たち

指揮者
コントラバス チェロ ヴィオラ ヴァイオリン2nd ヴァイオリン1st
ファゴット オーボエ フルート クラリネット
チューバ トローンボーン トランペット ホルン
打楽器 ティンパニー

フルート【英:flute/独:Flöte/伊:flauto/仏:flûte】

🎻 楽器データ 🎻

サイズ 全長約67センチ
フルートの名曲 ビゼー/アルルの女「メヌエット」、同/カルメン「間奏曲」、チャイコフスキー/くるみ割り人形「あし笛の踊り」
オケではいつでも目立つ存在。
フルートを愛した作曲家 ラヴェル、ドヴォルザーク、ドビュッシー、フォーレ
フルート吹き有名人 雅子妃殿下、佐渡裕さん(指揮者)、ジャン・フルネさん(都響名誉指揮者)、布施明さん、後藤久美子さんも!
音域

ステージのここにいます!

オーケストラの楽器を紹介する好評シリーズ、今回はオケの楽器のなかでも、華やかさではピカイチ、木管楽器のフルートをご紹介します。

「木管楽器のフルート」……でもフルートは、見ためも華麗な銀色が多いですよね。それでも「木管」?
はい、立派な木管楽器です。昔のフルートはみんな木でできていたのです。
ちょっと考えてみてください。日本にも昔から、「笛」と呼ばれる楽器があるでしょう。あれは普通、横笛ですよね。そして、木か竹でできていますよね。あれと似たような木の楽器が、古くからヨーロッパ、そして世界中で吹かれているのです。
それが19世紀、ベートーヴェンより少しあとの時代に改良され、音量が出しやすく、安定した音程で豊かに響く金属製が作られました。ただしこの楽器が普及したのはもっと後のことです。

現在のフルートは、洋銀、銀、金、そしてなんとプラチナ製もあります。輪切りにしただけで指輪が何コできるでしょう? というのは下劣な冗談ですが、お値段のほうも相当なものも。
それぞれの材質によって音色にも違いがあって、たとえば金のフルートは、一般に倍音が多い華やかな音とされています。なかでも18金、24金の楽器は、深みのある艶やかな音色が特長だそうです。
では銀の楽器は劣るのかというと決してそういうことではなく、フルート独特の深い響きを得られる総銀製のフルートを好んで使う奏者も多くいます。
また最近では、あえて素朴な音色を求めて木(グラナディラ)の楽器を使う人もいます。
ただ、音色は楽器の材質だけでなく、吹く人によっても大きく左右されるものでもあります。
ちなみにフルートという楽器は、実は埼玉県の隠れた地場産業なのだそうです。世界的に評価されている有名メーカーが県内に7~8社もあり、ヨーロッパをはじめとする多くの一流奏者たちにも Made in Japan. が愛用されています。

さて、世界中で大昔から吹かれていた横笛の話をしました。
フルートは、吹くのは難しいですが音を出す原理は原始的です。みなさんも子どものころ、ビール瓶などに息を入れて、「ボー」っと鳴らして遊んだことはあるでしょう。あれと同じ理屈です。
難しくいうと、口から出した息を楽器の中に入れるぶんと外に出すぶんに分けるときに音が出るのです。
ということは、使った息のうちの半分は楽器の外に出てしまうのです!
他の木管楽器や金管楽器では吹き入れた息は100%使われるのに対して、半分が外に出ちゃうなんて、なんとムダ……というわけではないのですが、長いフレーズを一息で吹かなければならないときなど、大変です。
そういうある種のハンデを背負いながら一所懸命吹いているということを、皆さんにもぜひ知っていてもらいたいですね。


上がピッコロ(グラナディラ製)、下がフルート(金製)

フルートの仲間には、長さが半分以下のピッコロがあります。
こちらはフルートより1オクターブ高い、オーケストラの管楽器のなかでも最も高い音を出し、そしてサイズの小さな楽器です。
通常オーケストラでは、フルート奏者が兼任して演奏します。鳥の鳴き声のようなかわいい高音は、ご存知の方も多いでしょう。

実はフルートの仲間はそれだけではありません。写真でお見せできないのが残念なのですが、普通のフルートよりも太くて長いアルトフルートやバスフルートという楽器があります。
これらのなかには、アルファベットの「J」を横にしたような、根元がくねっと180度曲がったかわった形をしたものもあります。
さらに、ちょうど数字の「4」のような形をしたコントラバスフルートという楽器もあり、これら各種のフルートが集まった「フルートオーケストラ」も結成されています。
埼玉フィルのフルートメンバーも、「さいたまフルートクァルテット」というアンサンブルを組んでいます。こちらは普通のフルート(通称「並管(なみかん)」)4本ですが、来年2月の「室内楽コンサート2004」にも出演しますので、ぜひ聴きにきてくださいね。

さてこのへんで、恒例の団員インタビューに移りましょう。

――フルートを始めたきっかけから。人気の楽器だから、倍率が高かったのでは?
「……実は覚えてないんです。ただ、ブラスのうまい高校に入りたかったので中学で吹奏楽部に入ったのが、楽器を始めたきっかけです」
「はじめは吹奏楽でサックスを吹いていたんですよ。でも学校の楽器だったので、大学に入って自分の楽器を買おうとしたらフルートのほうが安かったので、フルートにしてしまったんです」
「アルルの女のメヌエットや、ペールギュントの朝などの曲を子どものころに聴いて、澄んだ美しいソロの音色に憧れ、この楽器をオケで吹きたい! と思ったのが吹き始めたきっかけでした」
「私は本当はトランペット希望だったんですが、たまたま家に、フルートによく似た銀の横笛があったんです。父が持っていたもので、これを噴水の前で吹くと女の子にモテるとかいって。この楽器を小学生のときから吹いて遊んでいたので、中学で吹奏楽部に入ったとき、楽器を決めるテストでフルートが吹けちゃって、フルートになってしまいました」

――どうしてもフルート、という方は意外に少ないんですね。ではフルートをやっていてよかった、楽しかった、ってことを教えてください。
「やっぱり、オーケストラのなかでいちばんカッコいい楽器、ということでしょう!」
「もう、ナルシストなんだから……。私は弦楽器や木管楽器など、どんな楽器とも一緒にアンサンブルができることがよかったです。もちろん、フルートだけでもできますし」
「フルートのための楽譜はたくさんあるので、そういう意味でも楽しみは多いですよ」
「フルートというより、オーケストラをやっていて、いろいろな音楽仲間に出会えたのは素晴しい体験です。おかげで楽しい学生生活が送れたし、今も楽しくアマオケ生活を送っています」
「軽くて持ち運びがラク。これはけっこううらやましがられますよ。結婚式などの余興でも吹きやすいですし」
「フルートを吹く人は多いので、オケに入るのは倍率が高くて大変なんですが、仲間がいっぱいいるのは楽しいですね」

――みなさん、オケ以外にもいろいろ音楽活動をされているのですね。では、埼フィルのフルートパートを一言でどうぞ!
「お父さんを囲んで、いつもハーレム状態です」
「とても仲がよくって、今度“お父さん”が建てた別荘で合宿をやろうと計画してるんですよ。名付けて“ハーレム合宿”」(笑)
「4人家族っていう声もあります。いつもやさしくて、ときには厳しい父と母のもとで、スクスク育つ娘、みたいな」
「3人姉妹にしといてくださいよー。でも、ほんとアットホームな雰囲気ですよね」
「そう、なんだかいつも、ほんわかしています」
うんうん、インタビューでもそんなほんわかした雰囲気がよく伝わってくるフルートパートでした。性格はひかえめな4人、でも曲のなかでは、ソロなどで十分に主張できる技量の持ち主たちです。今日の演奏にも、どうぞご注目を!